試合開始頃には桃谷のコリアンタウンを歩いていたが、試合終了時は移動中の車ですでに広島県内に入っていた。そんな長い試合で、一番緊張したのは12回裏、マウンドに河野が上がったときである。もちろんここまで1軍でさしたる実績がない、どころか出るたびに炎上していた河野しかいない状況で、ドキドキするなという方が間違いだろう。まあ、よく抑えたものである。
ヒロインにはプロ初勝利の黒原が収まって殊勝にしゃべっていたが、この試合の真のヒーローはまちろん石原と二俣だろう。石原のホームランがなければエクストライニングなどなく、二俣の2点タイムリーがなければ12回裏はもっと心臓に悪かった。やっぱり、得点力こそ正義なのである。
そもそも今日の試合、2回裏に玉村が信じられない崩れ方をして5失点した時点で、これで勝負あったと思った。しかし、それを跳ね返して勝ったことに意義がある。点を取られたら負けという野球しかできないんだったら、優勝を目指そうというチームとしては失格だ。点を取られたら取り返すというのは、まずチームが身につけるお作法なのであり、「守り勝つ」などというのは二の次三の次なのである。
ただ、残念なのは、新井のやりたい野球は存外つまらないようであることだ。10回表、そして12回表。いずれも無理な送りバントにこだわったのは非常にあぢきなきことである。結果が出なかったという以上に、前者は林に送った代打二俣、後者は末包である。新井はこの三人をどんな選手に育てたいのですがと問い詰めたいところだ。いずれもここ一番で局面を打開できる長打の打てる選手に育てなければならないのではないか。
そういう意味では、延長戦を制して、劣勢を跳ね返して勝ったということより、なにか大事なものが抜けてやしませんかと言いたくもなる。成功しても得るもの少ない一方、失敗したら受けるダメージは間違いなく大きい。少なくともこれから主軸打者に育てなければならない選手にしてはならないと思うのは私だけだろうか。
だから、勝ってよかったとはとても思えないのである。まあ敢えて言えば、前のタイガース戦以来チャンスを潰し続けていた坂倉に同点と決勝のタイムリーが出たくらいだろうか。とにかくここのところ明らかに表情も冴えず、メンタルに来ていることが明らかだったから、これで振り払うことができればと願うのみだ。
こうなったら、あとひとつは確実に取らねばならぬ。アドゥワは誠実はピッチングをしてくれると思うが、問題はオフェンスである。前回ホームでしてやられた大貫相手にどれだけ食らいつけるかだろう。しかし、処方箋はただひとつ。点を取ること、火力で押すことだ。今日できたことが、明日できないということはないのだ。
まあ、今日はスポーツデイだ。カープだけではなく、サンフレッチェもあるし、ドラゴンフライズの最終決戦に大相撲五月場所の千秋楽、東京優駿もあって全部何らかの形で映像が見られる。カープにはぜひチャンネルを変えさせないような試合を期待したい。
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