本当に救いようのない試合だったことは確かだが、10回表2死からの攻撃だけは僅かなカタルシスを得ることができた。それもやがてなんでもっと早ようできへんねんという溜息に消されるわけではあるが。結果、15安打5点。しかも10回表の小園、末包、野間のホームランが効いたのであって、あとはまあ壮大な拙攻である。とても褒められたものではない。
それにしても、新井という人はよほど頑固なのか頭が悪いのか、今日も機能しないこと請け合いのオーダーでかかっていったのはある意味尊敬に値する。まさに現代に生きるLa Manchaというべきだ。東克樹相手に2番矢野なんてよく思いついたものだと思う。そしてよせばいいのに6番ファースト坂倉。前回記事で指摘した如く、悩みの淵と言うよりはメンタルダウン寸前であるようだ。最終打席のテキサスリーガースで蘇ればよいが。
呆れてばかりでもなんだからたまには褒めておくと、やはり小園と末包は主力打者として必要なものを待っているというべきだ。それ即ち「華」である。打ってほしいところで打てる、打てばチームが明るくなるバッターだろう。さらに言えば、やはり小園の格の違いが目立つ。打ったボールは、決して甘い球じゃなかった。あれを乾坤一擲の場面でしばけることこそ小園の素晴らしさだろう。矢野と競争させてなどと少しでも思った向きは、己が身の不明を恥じるべきだ。
そして野間。やればできるやないかい。ルーキーイヤー以来私が野間に求めていたのはあんな打球なのだ。そうなるのに10年かかるのは些か長すぎだが、これが遅すぎた春なのかただの一過性椿事であるのかは、やがてわかる。
しかし、新井という人、古葉さんを別格としても、カープの監督の中でも最強の一人かもしれない。能力ではない。「運」だ。だって、どう考えても明後日の方向の用兵でも何故か結果が出てしまう。あの恥晒しとしか言えない上本4番でも勝ってしまうし、今日だってオーダー的には?????だったが、結果として勝ってしまう。采配能力的には前任者とどっこいどっこいだと思うから、これは不思議としか言いようがない。
でも、運が向いているうちに足元を見つめ直しておかないと、運でしか勝てないギャンブル野球で終わる。今のオーダーで言うなら、少なくとも矢野のスターター起用はやめるべきだし、坂倉の処遇はかなり考えなければいけないし、なによりもう1枚大砲が欲しい。そうでないと、勝てるものも勝てない。
今日の試合の教訓は、やはり火力が最強、ディフェンスだけでは埒が明かないということである。しかしそんなの当たり前であって、これを理解できない向きが多い事自体が驚きである。しかし、それをわかりやすい形で示してくれたのは、野球の神の啓示、いや黙示録なのかもしれない。
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