それにしても、驚いた。いうまでもなく昨夜の蹴球世界杯の日独戦である。まあ前半を見ていたら大人と子どももいいところで、挙げ句権田のつまらないミスでPKを献上する始末。これじゃああかんという思いと、きっとポイチさんにはこれを打開する手はないだろうなという思いに、なんで権田がGK?という疑問とが頭の中をぐるぐる回っていた。
それが、後半のオフェンスの駒5枚並べ詰めとでもいいたい交代で、試合の流れを変えてしまった。サンフレッチェ時代のポイチさんはこんなドラスティックな手は打てたかなと首を捻ったくらいである。まあ、やればできるということなのだろう。聞くところによるとカタールの人権問題がらみでドイツの選手のモラールもさほど高いとはいえなかったようだが、それはこの結果の素晴らしさを左右しない。立派なものだといわざるを得ない。
サッカーというのは確かにディフェンシヴに戦うことに一定の説得力があるスポーツだし、これがラグビー、アメフトと変化するにしたがってオフェンシヴ優位になるとところであって、要するに昨日の試合など0-1で粘ってという闘いになりがちなのだが、昨日ポイチさんが見せた戦術は半ばやけくそともいえるオフェンシヴサッカーである。やはりサッカーとて点取れないと勝てないスポーツだから、オフェンシヴに戦うことの意義は大きいのだろう。また、その方が見ていて楽しいことは、確かだ。
そういえば、競技こそ違うが今年の高校野球夏の選手権大会、優勝した仙台育英高校は投手力のみフィーチャリングされがちだが、本当に結果を左右したのは攻撃力であるとみる。その一方で絶対的大本命と言われた大阪桐蔭高校は、やけにディフェンシヴというか、妙に犠打に拘ってというか、あれだけの攻撃力がありながら無理にスモールベースボールをやって沈没したというか、そんな感じがする。だから下関国際高校が金星を挙げる余地が出てきたのだ。
況んや、プロ野球をや。今シーズンのカープが開幕6連勝から大失速したのは、つまらないスモールベースボールもどきに邁進したからだといわざるを得ない。それが間違いなく筋悪だったことは、今年オフェンス面で残した数字のひどさが雄弁に物語っている。今年のオフェンスの差配が河田によるものだったのかそれとも東出によるものだったかは知らないが、いずれにせよとんでもないミスキャストだったとしかいえない。
もはや、現代スポーツにおいてディフェンシヴに戦うというのは風車に楯突くドン・キホーテのようなものだ。もはや時代は、そんなものを求めていないし、無理矢理求めたら勝負の神様に嫌われるようにできているのだ。勝ちたければオフェンスを強くしろというのが現代スポーツの常識といっても過言ではない。「投手を中心に守り勝つ野球」なんて、もう過去帳送りにしてしまいたい。






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