何でも前田健太が2年4億でイーグルスと合意したという報道がなされた一方、そうではないとする報道もある。いったいどれがほんとなんやと喧しいところだ。カープはオファーをしないのかとかなんとかいう声もあるところだが、まあ私からしたらどうでもいい。戦力になれるのならば取りに行けばいいだけの話である。
しかし、2年4億という話が本当ならば、それが今の前田健太の評価の限界なのかなと思う。年齢からして大型契約は難しいとはいえ、その程度の条件を選択したとしたら、他球団の評価はもっと低かったということの傍証にほかならない。まあそうだろう。黒田博樹の時とは情勢が違うのだ。いわば前田健太はMLBをお払い箱になったのだから。
しかし、前田健太にだってエージェントがいるだろうと思うが、報じられた契約で合意したとしたら相当安く見積もられたというか、もはや売り物ですらないと判断されたといって過言ではない。それを思うと、口だけは調査すると言っておきながら、実際は獲得に二の足を踏む球団が相当あったのだろうと思う、
前田健太は在京球団希望、ことにジャイアンツなどという声もあるのだが、実はジャイアンツもいい迷惑なのかもしれない。いい商売になると思って獲得させられた、もとい獲得した田中将大があの体たらくだから、このままじゃ第二のマー君になってしまって不良債権で貴重な支配下選手枠を埋めてしまうことを危惧しているのかもしれない。
ことカープに関して言うならば、単年度2億ならいらない。これではカリテ・プリがよくないのである。正直戦力としては、2015年の黒田博樹にはなり得ないと思う。MLBで通用しなくなってもNPBならというのは甘い。今やMLBやマイナーで中途半端なピッチャーはNPBで結果を出せていないことは自明である。もちろん前田健太の場合はNPB実績がある分、海のものとも山のものともいえないのと同列には論じ得ないだろうが。
中には、今年壁に当たった森下暢仁の教育役でいいからという向きもある。しかし、それならなおのこといらない。森下暢仁が殻を破りたければ、自分の力で破れと言うまでだ。何も乳母日傘で森下暢仁を育てる必要はないのであって、むしろ森下暢仁の方から前田健太に弟子入りするくらいじゃないと駄目だ。そうじゃなきゃ伸びない。そんなことを考えて獲得したら、結局ふたりとも倒れてしまう。
非常に厳しいようだが、今の前田健太は球団をえり好みする立場じゃないと思う。NPBに復帰したければ頭を下げて入団を乞うくらいの気持ちがなかったら、マー君の二の舞になってしまうだろう。前田健太自身はそれがあるのかもしれないが、きっと取り巻きにろくでもないのがいるんだと思う。まだまだ高く売れると夢を見ている人がいるのかもしれない。その言うことを聞いているようじゃ、前田健太は終わりだ。
まあ、どうなろうと彼の自由だし、知ったことではない。行きたいところに行けばいい。その代わり泣き言は聞きたくない。歯を食いしばって結果を出せ。
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コメント
以前、ピアニストのウラディミール・ホロヴィッツ初来日リサイタル(1983年)を聴きに行った時の様子を書いたことがある。幼少期からピアノを弾いてきた俺にとって、ホロヴィッツは永遠の憧れであり、時代を超えて最高のピアニストとして尊敬してやまない存在である。だからこそ、初来日のリサイタルでミスタッチの連発を目の当たりにしたとき、深い落胆を覚えずにはいられなかった。
音楽批評家の大御所、吉田秀和氏が、ホロヴィッツの演奏について”ひびの入った骨とう品”と評した。口さがない人は『ボロヴィッツ』などとあざけったものだ。
ただ、ミスタッチ連発の初来日時の年齢が79歳だったものの老いが原因ではなく、体調不良と鬱が重なった影が、あの夜の鍵盤に落ちていたのだ。その証拠に、1986年の再来日では、彼は再び輝きを取り戻し、聴衆を圧倒する演奏を響かせている。
ちなみに、ミスタッチを連発した1983年初来日公演のNHKホールS席のチケット代は5万円(←ベラボウに高い)。
まあこのように、演奏家という存在は、しばしば70歳を超えてなお舞台に立ち続け、円熟の響きを聴衆に届ける。音楽は肉体の衰えを超えて、精神と技の深まりによって輝きを増す芸術だからだ。
しかし、アスリートの世界は異なる。そこでは肉体そのものが武器であり、酷使の果てには必ず限界年齢という壁が立ちはだかる。前田健太のNPB復帰は夢として語られるが、その夢を現実に変える道は、あまりに険しい。