東京という街には、通算して3年11か月居住したのだが、まったくいい思い出がない。だから、東京から広島に戻るときには正直ほっとしたし、二度とこんな街には住むものかと思ったくらいである。
ただ、それから経過すること17年、いまだに悪い思い出は消えないのだが、わずかにあるよき思い出が美化されることにより相対的に薄まっているような気もするのだ。そこから思うことは、やはり東京というのは遊びに行く街だということだ。そんな憎らしくも懐かしい街に、来月久しぶりに足を踏み入れる。既に何度か書いたところであるが、その続編を書いてみることとしたい。なに、カープばかり肴にするのに疲れただけである。
東京と言えば、一番よき思い出はなんといっても国技館での相撲見物である。金額的には決して安くはない。椅子席でも1万円近くするのだが、その代わり午前中から18:00まで居座って相撲三昧に浸れるのである。その意味では決して高いお遊びではないと思う。いや、枡席を奮発しても一人で占領するなどという贅沢でもしない限りはさほど高い買い物ではない。
広島に戻ることが間近に迫った某年の一月場所は、思い切って一番いい枡席、しかも正面を奮発した。これはもう、感動しないわけがないのである。特に横綱朝青龍がひときわ大きく見えたのであって、これが横綱のオーラというものかと感じたのを覚えている。
ところで相撲と言えばやはり相撲料理屋でちゃんこをつつきたいところだが、一番よかったのは両国駅南にある「ちゃんこ巴潟」だと思う。お値段は張るが、味は一級品だ。広島には相撲料理屋がないのが残念でならない。
話は変わって、東京でものを喰らうと言うときにやはり外せない、というより是非行ってみたかったのは、帝国ホテルだ。これは帝国ホテルの料理長だった故村上信夫翁の著書を読んでいたからだが、念願叶って「ブフェレストラン インペリアルバイキング サール」に行ったときには感動した。その後に場所を移した「オールドインペリアルバー」でのひとときと併せてよく覚えている。
あと思い出の店と言えば、「たいめいけん」かな。これはレシピ本も持っていて、その通りの再現は出来ないまでも結構参考にさせてもらっている。最後に甘味の店として、浅草の「梅園」と「梅むら」を挙げておきたい。