午後11時のモノローグ その128

睦月も上旬が終わっただけであるので、まだまだ春というには早いのであるが、それでも宵の口には西の空が少しずつ明るくなりつつあって、いわゆる「釣瓶落とし」の夜空とは違う。もちろんこれから寒さは本格化するのであるが、いよいよ早春の趣となりつつある、というと気が早いだろうか。いや、あと3週間でプロ野球のスプリングキャンプが始まるのだから、あながち早いとはいえまい。

昨日は取り立てて慌てて書くこともないかと思ったし、カープ関連のニュースを脊髄反射的に書くつもりもないからスルーしたが、今日もないといったらない。でもそんなこといっていたらしばらく書くこともなくなってしまうので、レンタルしてきた「ニッポン無責任時代」についてでも書きたい。三十年ぶりに見返して、覚えていたのはラストシーンだけだったのであるが、やっぱり面白いものは面白いという当たり前の結論に達した。

クレージー映画や植木等主演ものは、残念ながら駄作が多く、本当に面白いと言えるのは数えるほどなのだが、本作は屈指である。とにかく植木等の演ずる主人公平均(たいらひとし)のピカロぶりがスピーディでテンポがよくて飽きさせないのだ。ほんとうに、時間の経つのがあっという間だった。喜劇という範疇を超えて、邦画の中でも屈指の秀作といって過言でないと思う。途中までは。

残念ながら終盤から、おそらくは東宝の上層部の横槍が入ったか、急に展開がおかしくなってしまう。ネタバレになるためどこからがどうだとはいわないが(でも一度御覧になると絶対に分かるはず)、これが日本喜劇の、いや邦画の衰退を来した原因というと言い過ぎか。やはり、日本映画では主人公は「いい人」じゃなくてはならず、ああいう乾いたピカロは合わないのかもしれないね。

まあ、そもそもあの映画は植木等フィーチャリング映画ではあるが完全な主役ではない。当時の東宝の看板だった「お姐ちゃんトリオ」にクレージーキャッツを合わせて新味を出そうとしただけともいえるのだ。だから、所詮はこれまでの路線の延長のB級コメディということもできる。それゆえ大冒険も出来なかったのかもしれない。ああいうピカロ的な笑いはそれこそ「お呼びでない」のかもしれない。

思うに、煮詰まった社会であればあるほど新味を出すには種々の抵抗があるのだ。過去数日書いたとおり我が社だってある意味そうだし、カープを巡るサークルだってそうだろう。あれだけ前政権で組織としてボロボロになっているにもかかわらず、抜本的な改革に対する抵抗は強い。結局「アライさん」の家族主義で騙されているのではないかと思う。これじゃあいかんだろう。やっぱり私も令和の「平均」になって、タイミングにC調に無責任で闊歩していきたいところである。

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1件のコメント

  1. 中途失聴で聴力を失い音のない世界を生きていた男性と女性(健常者)のラブストーリー”silent”というドラマがヒットしているらしい(TVを観ないのでドラマの雰囲気は分からない)。私自身も十数年前、突発性難聴で右耳の聴力は極めて弱い(ほぼ聞こえない)。また、本業のほうでは障害者雇用担当で、副業では重度障害者(主に知的&精神)の相談業務を行なっている。
    自身が、先天的にアスペルガー症候群という障害を持ち、さらに中途で右側の聴力を失い、本業でも副業でも障害者に深く関わるという立ち位置でありながら、障害者=弱者で障害者には優しく特別扱いしなければならないという思考には強い拒否反応を示す(笑)。健常者と一緒で、障害者にもイヤな奴はいる。障害車手帳を水戸黄門の紋所のように、「この障害者手帳が目に入らぬか!」と障害を武器にする者もチラホラいる。障害者だからといって、そんな不埒な輩は擁護しなくていい、と思っている。障害者全員が純粋無垢という前近代的な固定概念をお持ちの方は、ちとは障害者関連のボランティアでもやって実態をご覧になったほうがいいかもね。

    話を”silent”に戻すと。ドラマの中でも聴力を失うと日常使う手段は手話と決めつけているようだけど何で?私の場合、突発性難聴を発症するずーっと前から読心術を取得していたので、たとえ今から両耳が塞がっても大きなハンディキャップにはならない。

    ドラマの”silent”より遙かに感動的で立派な人物が実在する。デフサポの社長・牧野友香子。先天的な聾者でありながら手話を使わず読心術を駆使し会話もスラスラ。楽天的な性格が幸いし、幼小中と普通学級で学び高校は大阪の名門・天王寺高校(大阪267校中3位)。神戸大学を卒業後ソニーに入社。2児の母(第一子は難病持ち)。現在は、難聴児向けの通信教育サービス ・難聴者向けの就労支援を行うデフサポという会社の社長。詳細は彼女のYouTube・デフサポちゃんねるか、街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜デフサポユカコ。お見事と言うしかない。

    話をプロ野球に結びつけると・・・
    前に少し触れているけれど、読心術から派生させて、FBIやCIAで行なわれている表情から相手の心理を読む訓練を積めば、サイン盗みのような古典的な方法を使わなくても、高い確率で相手の作戦が見抜ける。打者は投手の球種を瞬時に見抜けるようになる。データも重要だけど100%当たるわけではない。それより、相手の微動作・微表情を読む訓練を積んだほうが精度が高いかも。真剣に訓練を積めば、誰でも相手の心理を読めるようになる。FBIやCIAのような特殊な機関じゃなくても、今後AIやヒューマノイドを進化させるために、マシーンに読心術や微表情の読み取りをインプットさせることが必須になる、はず。
    先取りとは、MLBの真似をすることじゃーない。MLBでさえやっていないことをNPBが先にやることで、レベルが上がるんじゃないの?
    いい加減、米国の追随はやめようぜ。WBCだって米国がMLBのトップクラスを出場させると言い出してから、MLB所属の日本人選手も出る、って。いつも猿真似ばっか。テメエら己の信念ないのかよ。そろそろ米国がやっても俺らはやらない、という独自性を出さないと共倒れするでぇ。

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