勝って喜ぶおめでたさ。「守り勝つ野球」という滑稽な教義とカープの虚無

スポーツ

ドラゴンズ戦に勝ち、床田寛樹が8回1失点の好投を見せた——。 これを見て「守り勝つ野球の真骨頂」などと満足げに頷いているファンがいるとすれば、そのおめでたさには呆れるほかない。どれほど投手陣が粘ろうが、オフェンスがのらりくらりとかわされ続けていれば敗北と隣り合わせだ。得点力こそが正義であり、火力こそが大正義であるという動かしがたい現実から目を背け、「投手中心」という幻想に逃避し続けた果てが現在の惨状である。 最下位決定戦らしい虚無な勝利の裏に見える野手陣の致命的な欠陥、そして相変わらず沈黙を決め込むメディアの怠慢まで、勝敗の数字に誤魔化されないカープのリアルを切り捨てる。

今日も試合をやっている最中はテレビを「オモウマい店」に合わせていたし、そもそも妻と一緒に娘とビデオ通話をしたから、試合の中身はろくすっぽ見ていない。ちょうど見始めたのは、大盛穂の三塁打が出てやっとこさ先制点が入り、相手ピッチャーが大野雄大から藤嶋健人に代わったところだ。だからまあ、いいところしか見ていないわけではある。

私自身のことはどうでもいいとして、この試合を見てカープファン諸姉兄はどのように感じられただろうか。「さすが床田寛樹、見事に守り勝った」などと、コア層を中心に誇らしげに語る向きも多いかもしれない。しかし、その認識は間違っている。確かに8回1失点という床田の数字はベストに近いが、オフェンスが大野雄大にのらりくらりとかわされ続けていれば、好投報われず負けていた可能性だって十分にあったのだ。

火力こそが大正義——「守り勝つ野球」という不都合な真実

やはり今日の試合から得るべき教訓は、「得点力は正義であり、火力こそが大正義である」という点に尽きる。遅かりしと言えども、7回に挙げた5点が完全に試合を決めたのだから。いや、あれとて自律的に取ったかと問われれば些か怪しい。今日のドラゴンズにとって最大のミスは、完全に安全牌と化していたファビアンと、今日はイケていなかった坂倉将吾をわざわざ歩かせたことだろう。そのあと菊池涼介のバットに藤嶋のボールが正面衝突してジ・エンドとなったわけで、カープ側からしても手放しで胸を張れる結果ではない。

そもそも、中盤まで4安打4四球とランナーを出しながら大野雄大から1点も取れなかったことこそが、現在のカープの惨状を象徴している。オフェンスを軽視し、二言目には「投手を中心に守り勝つ野球」などとほざき続けてきた結果が、今の低迷ぶりである。なにより、得点力の不足は投手力を無駄に摩耗させるだけだという事実に、何年かかれば気がつくのだろうか。一部のコア層の浅薄さには目も当てられない。

野球において、オフェンス力(点を取る)とディフェンス力(守り抜く)が車の両輪であり、コインの裏表であることは言うまでもない。どちらかが致命的に欠けたままで覇権を握ったチームが存在しないのも確かだ。しかし、公認野球規則1.05条および1.06条にもある通り、野球は「相手より多く点を取らなければ絶対に勝てない」仕組みになっている。これはどれほど言葉を飾ろうが動かしがたい事実だ。

したがって、本質的にはオフェンス力が前面に出て、ディフェンス力はその裏支えでしかあり得ない。何度も繰り返してきたことだが、この前提すら理解できない向きがいることには眩暈がする。単なる「縁なき衆生」として切り捨てるのは簡単だが、こういう層に限って声だけは無駄に大きいからたちが悪い。

マーティ退任後の指揮官たちが口を揃えて「投手を中心に守り勝つ野球」などと宣伝してきたから、善意のファンまでがコロリと騙される。「やっぱり野球は投手力だよ」とドヤ顔で語る向きが多いのは、実に嘆かわしい限りだ。その幻想の果てが現在の低迷である。過去に一度でもそうした言説を肯定した者は、今のカープの惨状に文句をつける資格などない。

商品としてのクオリティと、沈黙するメディアの怠慢

まあ、今日の試合内容などこの程度でよかろう。実に最下位決定戦にふさわしい、見どころのないゲームだったと言うほかない。床田寛樹について付け加えるなら、「エアコンの効いた快適な環境ならやはり強いね」と皮肉交じりに言っておく。夏場以降、特に屋外球場になると失速し続ける醜態を、何年繰り返せば気が済むのだろうか。学習能力も修正する気もないことの証左であり、プロの商品としてはB級品と評さざるを得ない。

話は変わるが、小園海斗の例の件をスポーツ紙がどう扱っているかに興味があったため、ほぼ1年ぶりにスポーツ紙を買ってみた。案の定、予想通りの論評抜きのベタ記事であった。こういう時に分かりやすくベタ記事化するのは、「余計な取材をするな」という統制が松田元あたりからかかっている証拠だ。完全に金をドブに捨てた。他の記事も中身がスカスカで、こんなものに180円も払う気には到底なれない。昔の紙面にはまだ熱量と活気があったものだが、要するに記者の勉強不足と日本語の拙さが極まっているのだろう。

ちなみに今日の小園は、久々にマルチ安打を放ち、エラーもなかったようだ。映像を見ていないのでミスが皆無だったかは定かではないが、相手投手の格を考えればこのくらい打って当然である。これで肩の荷が下りて晴れ晴れとプレイしているのかどうかは、外からは伺い知れない。

枯渇する人材と明日の展望

明日のカープは鈴木健矢、ドラゴンズは涌井秀章の予告先発となっている。鈴木はきっと誠実なピッチングを見せてくれるだろうから、勝負の分かれ目はいかに早く相手の涌井にお引き取り願うかだ。

しかし、安全牌と化したファビアンを外すことすらできないほど、野手の人材は完全に枯渇している。ファームに目を向けても、現在活きが良いのは育成の岸本大希くらいという絶望的な状況だ。だからこそ、とっくに支配下登録しておけば良かったのだ。さもなくば、今日2軍で3安打1本塁打と暴れた中村奨成の爆発力に賭けるくらいしか、現状を打破する手立ては見当たらない。それすら起爆剤になるかどうかは、わからない。

目先の1勝に安堵したところで、チームが抱える本質的な構造不全は何一つ解決していない。 「守り勝つ」という心地よい耳ざわりの言葉に酔いしれ、オフェンスの補強と育成を怠ってきたツケは、枯渇しきった二軍の層の薄さという形で残酷に突きつけられている。得点力の裏支えに過ぎないディフェンス力を神格化し続ける限り、この球団に未来はない。 明日、涌井から早々と点を奪い取れるだけの執念を見せられるのか、それとも相変わらずの拙攻で自滅するのか。勝ったところで何になるのかという虚無感を抱えながら、冷ややかにその行方を見極めるとしよう。

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