これはもう理屈じゃない。

1-3で膠着状態になってから、カープは終盤3イニング連続併殺打。一方9回表のベイスターズはラッキーヒットからのツーアウト1、3塁。この流れで、9回裏の結果が出るとは到底思えなかった。まさに理屈以前のミラクル、神がかりとしか言いようがない。この試合は、これからカープが走るための勇気になることだろう。

もちろん打った菊池は文句なしの大ヒーローだが、そのお膳立てをしたのは小園だ。初球のど真ん中のストレートを狙い打ちの二塁打。これが森原をぐらつかせたのだろう。特に二塁打というのが良い。これこそ長打の魔力なのだ。やはり一気に得点圏に走者を送れるというのは、相手投手に与えるプレッシャーが大きいのだ。

だから、どんなにピッチャーがよかろうと、長打力と得点力は持たねばならないのだ。床田はたしかに相当不出来だったが、それでも5回3失点。これでピッチャーが打たれたので負けましたと言っていたら、絶対に優勝なんて無理だ。それに、木戸銭取ってお客さんに見せる野球じゃない。だいいち、劣勢だろうがそれを追いかけ追いつきひっくり返す姿に、感動が生まれるのではないか。

話が逸れたが、とにかく負けたらジャイアンツとゲーム差なしになるところだった。しかもジャイアンツは骨折離脱のヘルナンデスに変わって登録された浅野翔吾のグランドスラムで勝って、勢いに乗りかけたところだ。これでカープが負けていたら、ゲーム差がどうこう以前に相手のモラールを上げるところだった。それがカープにこんな神がかりが出てしまったのである。ジャイアンツサイドに与えたダメージは大きいだろう。

これで酷暑9連戦は5勝3敗1分けで終えた。引き分けは勝てていた試合だったことと、負けた試合が全部完封負けだったことは要反省だ。問題は金曜日からの神宮三連戦だ。ここで負け越すのはもってのほか。最低勝ち越し、できればスウィープしたいところである。そのためには、やはり得点力だ。

そのためには、昇格した田村に、試合を決めるような効果的な一打が欲しい。少しずつ奨成礎を築いているし、これで田村に結果が出たら、オフェンスにまたオプションが増える。その意味では、はっきり言って上本と田中は存在意義がダブついているので、どちらか抹消して健人か佐藤あたりを昇格させたら良いと思うが、しないだろうな。

最後に、「今日の中村奨成」。3打席目の併殺打は悔やまれるだろう。あれはおっつけではなく、思いっきり長打狙いでいってほしかった。その意味では第4打席のレフトフライは悪くない。もっとエゴイスティックなバッティングをすれば良いと思うし、私はそれを期待している。