野間峻祥の場合は。

今年のカープのオフェンスの中で、野間は非常に頑張っている部類に入るだろう。打率.307はともかく、長打率が.453でOPSが.803というのは、かつての野間の数字からしたら格段の進歩だ。まだ個人の打撃成績は母数が少ないのでそれだけでどうこう言えるものではないが、このまま推移したらかなりいい数字をだしそうな気がする。

実際、今年はまだスタンドインこそないが、引っ張って長打が出るようになった。去年までなら、野間のヒットといえば当てに行って三遊間を割るのが定番で、飛距離もほとんど出なかった。だから、チャンスに回ってきてもほとんど期待できなかったし、なんとか野手のいないところに落ちてくれと祈るほかなかったのである。

しかも、足が速い割にはスチール技術が拙く、ディフェンスではスローイング難があって、相手チームからは完全にその点を突かれていた。要するに、高い身体能力云々と言われる割には課題が多かったのである。さらにいえば、あの緒方が激怒してパンチを食らわせた2019年7月のハマスタでの怠慢走塁に代表されるように、真摯に野球に取り組んでいるのか訝しがらずにはいられない事象もあって、私はもう見放していた。

正直なところ、野間に何があったのかは本人ではないのでわからない。ただ、今年のオープン戦で箸にも棒にもかからない数字しか残せなかったことでやっと危機感を持ったのかもしれない。それで、周囲の厳しい声がようやく聞こえるようになったのだろうか。あとは、昨年の58本連続シングルヒットという記録に思うところあったのかもしれない。

私がここまで彼のことを見るに、野間というのは所詮ヘラヘラしたお調子者に如かずと思っていた。いや、今でも私はあまり信用していない。ドラフト1位で入団してはや10年、やっと真摯に野球に取り組んだとしたならあまりにも寂しい。昨年だって、あの「清水建設事件」を手始めに色々とやらかし続けたし、試合展開上どうでもいいような場面でのヒット1本でベース上でヘラヘラしている姿を見せられたら、もう見放すしかない。

仮に、今年にはこれまでと違う真摯な思いで取り組んだんだと考えても、あまりにも遅い。彼にはこれまでいくらでもその機会があったはずだ。それこそ緒方の野間殴打事件のときもそうだし、「清水建設事件」のときもそうだ。そのたびごとに、輪をかけたような出来の悪いパフォーマンスを見せて失望させたのである。だから、本当に遅いよいまさらと思ってしまう自分がいる。

蓋し、野間の最大の弱点はメンタルだろう。ひとことで言うと打たれ弱いのだ。あの緒方の野間殴打事件の後は、ほとんど1月くらい使い物にならなかったし、ルーキーイヤーにスタートー起用されて結果が出ず、緒方もろとも叩かれたときも、しばらく期待外れのパフォーマンスしか見せられなかった。きっと周りの批判の声が耳に入ると考え込んでしまうのだろう。それが野間が成長しなかった原因だとしたら、あまりにも寂しい。

ただ、これを野間ひとりのパーソナリティの問題というのは些か酷かもしれない。打撃コーチなりに有能な指導者がいて、指揮官もきちんとフォローできていたら、こんなことにはならなかったと思う。その意味では、彼の低迷はカープの組織的な問題と言って過言ではあるまい。事実、カープは突き抜けたタレントというのが育成できていない。鈴木誠也でさえ、物足らぬところがあった。

その意味では、野間というのは今のカープの象徴なのかもしれない。突き抜けた個性が否定され、いわば「みんな仲良くぼちぼちと」。残念ながら、広島の風土病というものに感染しているのだろう。だから、調子を落としてバイオリズムが悪くなったときに、今と同じようなプレイができるかが鍵を握るだろう。

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コメント

“野間峻祥の場合は。” への2件のフィードバック

  1. Seniorのアバター
    Senior

    まあ、とある方も言うとったけど
    ルーキーや5年未満の高卒の若手やないんやから野間の評価はシーズン終了後まで待ちまひょ。

    しかしパ・リーグではライオンズが大変なことになってまんね。
    3試合連続サヨナラ負けて
    増田が打たれる・パスボール・守護神が逆転サヨナラ3ランを打たれる。
    しかもタチが悪いんが大型連敗しまへんねん。
    どっかで一個勝ってまたかなり負けるの繰り返し。
    弱いチームの典型的なパターンでんな。

    ただね、こんなとこでなんでライオンズの話出したんかと言うと
    ライオンズとカープって正直似たようなチームなんですわコレが。
    まあ共通点として
    ・中軸を外国人野手で賄うのが前提になっている
    ・FA、メジャー流出が多い
    ・ドラフトのチーム作りを中長期で考えている

    外国人野手が全く通用しない近年の変化に対応できていない
    流出に対する穴埋めがない
    中長期で考えている分、最近の変化に気づいてはいるが即対応できない。
    こんなとこですかね。

    まあ貧打なんは監督や現場だけの問題やない
    編成の問題やね。
    とりあえずスポーツ誌の名ばかり記者は
    オーナーを始めとした編成の責任者にちゃんと取材してきてほしいね。

  2. Иван Ивановичのアバター
    Иван Иванович

    確かに野間は調子が良さそうだけど、毎年シーズンの勝負所で身体のどこかを痛め離脱するからねえ。規定打席に達したのは2018年の1回だけでしょ。今シーズン終了時点でどうなっているやら???

    上の方が述べておられるように、カープとライオンズは類似点が多い。野手の高齢化が進み、落ち目のベテラン41歳栗山39歳中村34歳金子、停滞気味の中堅32歳外崎や31歳源田に依存している点や、スター選手不在で1軍のメンツがショボく、ワクワク感が薄い。これといった目当ての選手がいないので球場に足を運ぶ気が起こらん。ホンマ両チーム、よお似てる。

    カープもライオンズもここ数年、ドラフトで引き当てた野手の小粒感は否めない。それでもカープは、久保・二俣・田村・高木・佐藤は、上手く嵌れば伸びる可能性を秘めている。とはいえ、出場機会を多く与えないことにはどうにもならん。會澤・田中・上本・堂林・菊池・松山・秋山は、もういい加減サブでエエやろ。

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