昨年10月に広島に開業したヒルトンホテル、リーガやANAクラウンズ以上の高級ホテルであるわけだが、本日そこに潜入してきた。もちろん宿泊しているわけではなく、少し早いクリスマスディナーとしゃれ込んでブッフェレストランに行ってきたのである。で、ひさびさ食べ過ぎて、大分苦しい。一度に取る量を控えて少しずつたくさん取る作戦に出たのだが、やはり一皿分多かったらしい。
でも、満足した。味は申し分ない。大人ひとり3950円で、別に2500円出せばアルコール飲み放題なのだが、6500円で飲み食べ放題と考えれば、非常にリーズナブルだ。流川界隈ならこれより高い店はごまんとある。もちろんブッフェメニューだから本格フレンチというわけではないが、それでも味に手を抜いていないことは、分かる。事実、このたびは水曜日と言うこともあってアルコールの注文はしなかったのだが、食べ始めてすぐにワインを取らなかったのを後悔したほどである。
それも当然の話で、たとえお値打ち価格のブッフェレストランでも、そこで手を抜いたとすれば、絶対に舌の肥えたお客に見抜かれる。それで「ヒルトンのブッフェはまずい」などという評判が立ったら大変だ。なんせヒルトンと言えばマリオットやハイアットなどと並ぶ世界に名だたるホテルチェーンだから、その看板に傷を付けかねないことになる。だから、どんなに割安なコースでも絶対に味やサーヴィスに手を抜かない。よく一流の寿司屋の味を確かめるにはランチか一人前のにぎりがよいといわれるらしいが、同じ道理だろう。
私が国内のホテルで行ったことのあるもっとも上等のレストランは、帝国ホテルの最上階ブッフェレストランの「インペリアルバイキング サール」だろう。かのホテルにしてはお値打ちではあるけれども(大人ひとり17000円だが、フレンチレストランのコースは安くてその倍はする)、味にまったく手抜きのないこれぞインペリアルという料理だった。これもまったく理由は同じだろう。あるいはホテル・ニューオータニのブレックファストに行ったときには、パンケーキとかフライドエッグといったさりげない料理が実にうまかったことを覚えている。これぞまさに、一流の矜恃というものだろうと勝手に思ったものだ。
いや、なにも高級ホテルばかりがそうだという気はない。私が学生時代から愛用している「ますゐ」は、安くて量が多いと言うだけではなく、確かにうまい。これもそうで、ますゐと言えば精肉店直営だから、これまたますゐの料理がまずいという評判でも立てばお家の一大事である。そういう意味ではやっぱり一流のプロフェッショナルなのだ。逆に、料理は並なのに値段は高く気位はもっと高い店とか、味はともかく主人がやたら威張っているような店とかは、こちらから願い下げだ。
その意味では、野球会社広島東洋カープなどは、まあ一流はおろか下の下と行っていいだろう。だいたい、どこに一流なるものがあるだろうか。まあ菊池の守備ぐらいではないか。その割には口コミサイトでの評価は水増しされているようなものだ。Chef ARAIは一生懸命やっているが、それも先代シェフがヘボヘボだった恩恵に蒙っているだけだし、会社のオーナーは味を落としてでも利益を上げることを命ずる始末である。普通こんな店は不評が立ってすぐ潰れるのだが、味音痴のファンが多いのとマスコミ対策が完璧なせいでいかにも名店のように扱われている、と例えられよう。
しかも、扱っている食材は薹の立ったのとか未熟なのとか逆に腐ったのとか、もはや売り物にならないようなものが大半を占めている始末である。正直、こんなていたらくでプロの仕事なんか、味わえるわけないではないか。それを見て見ぬ振りすることは、こんな背信的な仕事を助長しているというか、一種の共犯だと思う。それに対する自覚のない酢豆腐的「通人」の、なんと多いことよ。
こうなると、自分がまずいものを進んで食べることは勝手だからとは言ってられない。今のカープファンのあり方は、それを食べたくない向きにも無理矢理口に入れようとしているのだ。ならば、こちらとしても全力で阻止するしかない。でもその方法は難しい。せめてこの方がうまいですぜというしかないんだけどね。
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