タイブレイクとピッチクロック

導入前には侃侃諤諤の議論があったタイブレイク制度も、すっかり馴染みのものとなった。まあいたずらに延長戦で引っ張るよりもいいかと思うし、サッカーのPK戦よりましかと思ったりもする。そもそもサッカーもラグビーももともとはテストマッチが原型だから、ガチガチ勝敗を決めるにはなじまないところがあるのかもしれないが。

ところで、高校野球で導入する当初は、エース格の投手の投げ過ぎ防止が立法事実としてあったと記憶している。それは間違いないのだろうが、それだけがタイブレイクが普及した理由かといえば違うと思う。ならばカテゴリィが下のトーナメントだけ導入すればよいはずだが、実際はそうではない。確率論として延長戦などそうそうあるわけではないにもかかわらずである。

もはや賢明な弊ブログの読者諸姉諸兄には明々白々だろうが、主たる理由は試合時間の短縮である。延長戦が長くなればなるほど試合時間が長くなるのは当たり前だが、それでは都合が悪くなったからと言うべきだ。なぜか。

話しを少し変えるが、かつて大相撲がアメリカ巡業をやって大盛況を博したことがある。その理由としては、作法のオリエンタリズムとかなんとか言うのもあるのかもしれないが、一番の理由は早く勝負の決着がつくからである。要するに、何かと待つのが嫌なアメリカ人気質にマッチしたからというのが正しい。

要するに今の野球、勝負にかかる時間が長いのである。そりゃプロ野球記録である最短試合時間55分などというのは短すぎて興醒めかもしれないが、平均して3時間超えというのは、いかにも長いと言われても仕方ないのである。

事実、野球にあまり興味のないうちの妻子は、なにかきっかけがないと野球を見に行きたがらない。理由は、上記の裏付けとなるが、いつ終わるかわからないからしんどいというのである。そのくせサッカーとなると、確実に90分+αで終わるからましだという始末である。これはきっと我が家だけの特異現象ではなく、ライトなファンが野球観戦から遠ざかる主な原因であり、ひいては野球人気減少の原因といってよいのではないか。

だから、見ようによっては延長戦にかかる時間などもっとも削りたいところであるといえるのである。タイブレイクはそれに十分に資する制度である。実際、妻子を野球に連れていくと、もっとも不満を示すのは延長戦なのである。

しかし、タイブレイクのリーグ戦での採用は、個人記録の公平性の観点からなかなか難しいと思う。それに、9イニングにかかる時間を左右できないとなると、やはり効果は限定的であるといえる。やはり、時間短縮のためには、何かしら現在のルールに手を加えなければならない。

と、いうわけで登場したのがアメリカのピッチクロック制なのだ。まあそんなこと私が言わなくてもWikipediaとか見れば書いてあるところだが、すべては試合時間短縮のための試行錯誤なのである。そしてなぜそうしなければならないかは、試合時間の長さがファン離れを呼んでいるというところに行き着くのだ。

だから、先日のオーナー会議でピッチクロック制の導入の検討が指示されたのである。MLBもそのようだが(実際サッカーリーグにファンを食われている由)、NPBなどファン離れは切実な問題である。だから、野球の本質に反するなどという批判は、実は全く的外れなものといってよいのである。

で、これは現在においては夢物語だが、さらに進んで現在の公認野球規則の規律自体に手がはいる可能性もあるのではないか。野球だってもともとは21点先取とかナインボール制とかいう時代もあったのだ。ラグビーがトライに得点を与え、バレーボールがラリーポイント制の採用で試合時間も短くかつわかりやすくなったような、ドラスティックな改正があるかもしれないとさえ思うのである。現行のルールは、不磨の大典ではないのだ。

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コメント

“タイブレイクとピッチクロック” への3件のフィードバック

  1. 悲しみのカープファン。のアバター
    悲しみのカープファン。

    ピッチクロックは導入してもらわないと。
    試合展開が速くなりますし。

    日本も導入すると思うので、気長に待ちましょう。

  2. Иван Ивановичのアバター
    Иван Иванович

    タイブレイクもピッチクロックも導入すればいいが、現在のNPBは試合時間の長さより、選手のプレイレベルの低さのほうが大問題なんじゃないか?
    カープのような戦力外級プレイヤーを多数揃えたチームが、優勝争いに食い込むなんてプロ野球も終わってるよ。19日の試合は、森下のレフトに飛んだ打球を讀賣秋広&丸のお見合いによるポテンヒットや、西川の左翼手超えヒットにしても完全に秋広の判断ミスでしょ。コレらがなけりゃ、試合展開が変わっていた可能性もある。カープのレベルの低さを上回る、讀賣外野陣の壊滅的守備。

    ドラゴンズ柳投手に至っては、4試合連続援護ゼロ点で防御率2,78ながら3勝9敗。13日のカープ戦は、何と9回までノーノーを達成しながら勝ち投手になれないなんて、ドラゴンズ打線は瀕死状態。

    事例を挙げればキリがないほど、NPB特にセントラルのレベルは低すぎ。

    たとえば、外国人枠撤廃とか、北中米のドラフトに日本も参加するとか。
    そういう、根本的な強化を図らずに、時短システムだけ導入してもNPBのレベルが向上するとは思えない。プロと名が付くエンタメの中で、プロ野球のレベルは最下層なんじゃないか。

    試合時間が短縮されても、現在の低レベル野球を観よう、とはならない。

  3. アングリーレッドのアバター
    アングリーレッド

    カープの勝つ野球は、
    “非力なチビ矢野”のフォアボールではない。
    ツーアウトランナー無しからの、“やらかし野間”のボテボテ内野安打ではない。
    “センス無し大盛”の見え見えフォークボール三振からの振り逃げではない。

    コア6(シックス)による長打だ!
    2本のホームランを打った堂林は偉大だ!
    どんな守備の名手も、はるか頭上を飛んでいく飛球になすすべは無い。
    バカープファンよ早く目を覚ませ!
    明日も火を吐けカープのコア6打線!

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