しつこいようだが、プロ野球の基本法といっていい「公認野球規則」にはこう書いてある。
1.05 The objective of each team is to win by scoring more runs than the opponent.
1.06 The winner of the game shall be that team which shall have scored, in accordance with these rules, the greater number of runs at the conclusion of a regulation game.
この2条からも、野球というのは点取りゲームであること、そのためにはオフェンシヴに戦わねばならないことが分かるのである。いや、およそほとんどの球技についてそういえるのだ。
しかし、なぜか最近のカープファンは頭が固い。どういうわけかディフェンシヴに戦うことをよしとする風潮が蔓延っていて、それを改めようとしない。100パーセント誤りなのにね。
正直、もっとも得点効率がよくないサッカーでさえ、点を取れないチームは国際試合でも勝てないし、国内リーグなら即降格だ。いや、サッカーでさえ虎の子の1点を守り切ってなどというのは弱者の戦法である。況んや、野球というスポーツをや。
こういう誤りが蔓延る原因のほとんどは過去の成功体験に酔っているというべきであって、果たしてカープで言えば、みんな1991年の成果を過大評価しているからというのが真実だろう。あの年は、確かに長打力に苦しみ、得点力に苦しんだのを、佐々岡や川口を中心とした投手陣の神がかり的な活躍で乗り切ってしまったのである。さらにいえば、その直後にドラフト制度の改悪があり、資金力のないカープ(これも嘘)は大砲に頼れないが少ない点を守って勝つことなら出来るという誤った幻想ができあがった、その象徴とされたのが1991年の成功体験である、というのが私の見立てである。
しかし、どんな言辞を弄しようと、誤りは誤りだ。1991年にカープが結果を残せたのは、前年に絶対的な力を誇ったジャイアンツが一気に崩壊し、セントラル全体の実力差が平準化されてカオスになったからというのが正しい。決してディフェンシヴに戦うことの正当性が証明されたからではないのだ。どう考えたって野球はオフェンスの強いチームが有利なのは明らかなのであって、それは過去黄金時代を作ったチームでオフェンスの弱いチームは皆無なことが雄弁に証明している。あのカープの三連覇だって、緒方くんが呪文のように唱えた「投手を中心に守り勝つ野球」が花開いたのではなく、打力を前面にして打ち勝ったからというのが正しい。
なのに、カープファンは、いまだに否定され尽くした「投手を中心に守り勝つ野球」なるものに拘り、ディフェンスを固めることに汲々とするのだ。挙げ句、オフェンスにはほとんど貢献しないような小粒な選手を愛でる傾向にある。結局、何か窮地に及んで考えを改めることは獄中の「転向」のように思うのかね。そんな大それた思潮の問題ではなく、たかが野球なのだが。
はっきり言っておく。今年カープが優勝したければ、徹底的にオフェンシヴに戦うことである。今のセントラル、スワローズが連覇したとか言っているが、私に言わせれば隙だらけである。そのほかのチームは、まあ有象無象だ。しかし、昨年のように中途半端な野球をやったら、間違いなく悪い順位となるだろう。それだけは保証する。
さあカープファンの皆さん。今年求めるのは、覇権ですか?それとも自己満足だけの衰退ですか?
くどいようだが、セイバーメトリクスは古臭いんだよ。選手の全体像を捉える参考程度のデータであって、絶対的とは言い難い。例えば昨年打撃部門トップの村上宗隆にカープ投手陣はセントラルで2番目にボロカス打たれが、大瀬良が最も抑えた投手なんだよね。ところが、一昨年はカープ投手陣がセントラルで村上を最も抑えたが、大瀬良は4割4分4厘と打ち込まれている。こんな日替わりのような振れ幅が大きいデータに全幅の信頼を寄せられるわけがない。
自分は微表情と微動作を分析し、直観7アルゴリズム3の割合で予想するタイプだけど、それだけじゃー心許ない。そこで数学物理の秀才2名に手伝ってもらい、当日の試合予想をする自動AIプログラムを開発。セイバーなんか使わない。大雑把な対戦成績より個人1対1の相性、デイゲームとナイターの相性、ドームと野外の相性、寒い時季暑い時季はどうか等々いろんな要素を加味・収集しレイティング指数を割り出す。また、現時点の個人成績は悪いが上昇するタイミングなのか悪いままスランプに突入するのか、はたまた現時点の個人成績は良いがそろそろ下降するタイミングなのか、好調を維持するのか。といったような不確定要素もAIに予想させる。まあ、三流解説者よりずっと精度が高い。
詳細なデータはベッティングチーム内の極秘なので明かせないけれど、カープの打者の傾向は、一線級の速球派投手はほぼ打てないよねえ。ほとんどの打者が二線級の緩い投手から固め打ちして数値を稼いでいる。なので、一線級投手相手の試合が長く続けば、チーム成績が急降下する。パシフィック相手の交流戦を分析するまでもなく、その傾向は明らか。3連覇の3年目(2018)の交流戦で10位となり2019から3期連続最下位(2020は中止)。これは長年言い続けてきたことだけど、本格派のパワーピッチャーが多い交流戦を勝ち越せるような打力がないと、セントラルでいくら二線級の投手を打ち崩しても無意味なんだよ。プロなら二線級投手相手にオフェンシブに戦うのは当然であり、課題は一線級投手相手にオフェンシブに戦える力をどのようにつけるか、というところに集約される。
言っちゃー何だけど、個人レベルでもそこそこ精度が高いデータ収集分析が自動で出来てしまうのに、プロチームが寄ってたかって古臭いセイバーに固執しているようでは、そりゃレベルが上がらんワ。