エース不在の窮地を救ったのは、アカデミー育ち・鮎川峻の劇的なハットトリックだった。セレッソ大阪を6-1で粉砕したサンフレッチェ広島の完璧な戦いぶりは、真摯にフットボールと向き合う組織の強靱さを証明してみせた。
その歓喜の陰で、尾形崇斗の剛速球にひれ伏し、怠惰な「野球ごっこ」を繰り広げるカープの惨状。満員のスタンドで無批判に甘やかす観客と、エトミデート疑獄の不祥事を抱えたまま居座る松田元体制の闇。ピッチ上の静かな称賛と、死体と化した球団への冷徹な告発を綴る。
真摯な努力に応えたフットボールの神様と、鮎川峻の覚醒
セバスティアン・アレーのベンチ外が発表された時点で、今日のセレッソ大阪戦はよりタイトなゲームになるだろうと予想していた。しかし、蓋を開けてみれば6-1という圧倒的なスコアでの大勝。唯一許した1失点も、後半アディショナルタイムに上門知樹が放ったとんでもないゴラッソによるものだ。特に前半の完璧な試合運びを含め、終始サンフレッチェのペースで90分+αが過ぎ去っていった。前節のファジアーノ戦で溜まったストレスを綺麗に洗い流す、実に清々しいゲームだったと言える。
それにしても、セブ不在という局面において、フットボールの神様は確実に鮎川峻へと降臨した。1ゴールだけでもチームを救う価値がある中で、まさかのハットトリックである。オフサイドラインギリギリを破った1点目、数ミリ単位の勝負を制した2点目、そしてPKをストップされながらもボールがコロコロと真後ろへ転がりゴールラインを割った3点目。まさに神がかったパフォーマンスだった。サンフレッチェのアカデミーで育ち、レンタル移籍を繰り返しながら苦労を重ね、ようやく摑み取ったスターターの座。真摯に努力を続けてきた人間を、神様は見捨てないのだと実感させられる。
正直に告白すれば、私自身もここまで鮎川がやれるとは思っていなかった。しかし、今日の切れ味鋭い動きと残した数字を見せつけられれば、もはや彼を起用することに対する説得力しかない。セブのコンディションは気になるところだが、前田直輝や浅野拓磨も部分合流を果たしつつあるという。今日の試合でもキレのある推進力を見せた越道草太や、世代別代表帰りの小林志紋の存在も含め、前線のタレント陣に関しては楽しみしか見当たらない。
だからこそ、以前から指摘しているディフェンス陣の再構築と新戦力の獲得が急務となる。キム・ジュソンの復帰という朗報がある一方で、山崎大地が3度目の右膝前十字靱帯断裂という非情な通知を受け離脱。前節のファジアーノ戦では中野就斗のストッパー起用が裏目に出て守備が乱れた経緯もある。夏の第1登録ウィンドウの締め切りは9月16日まで迫っている。志知孝明をパープルサンガへリリースしたということは、当然バックラインを補強する明確な目処が立っているからだと信じたい。
緻密なゲームプランと、相手を粉砕した4点目の重み
あらためて試合を振り返ると、前半10分という早い時間帯で得たPKによる先制点がきわめて大きかった。これによってミラーゲームの展開からズレが生じ、櫻川ソロモンと屈強な外国人シャドウの縦移動で打開しようとしたセレッソ側のゲームプランは早くも瓦解した。しかし、相手にとって最も致命的だったのはサンフレッチェの4点目、後半に入って反撃に出たセレッソの押し込みを殺した中野就斗のゴールだろう。敵陣深く押し込んでいたはずのセレッソからすれば、肝心な局面で相手の右ウィングバックがなぜか自分たちのゴール前に侵入しているのだから、呆然とするしかなかったはずだ。
この大勝によって、チームは実に良い空気感のまま次節のアウェイ・アビスパ戦へと向かうことができる。そこを乗り切れば、ヤマザキルヴァンカップの対栃木シティ戦、天皇杯の対いわきFC戦というカップ戦2試合が、比較的ゆとりのある日程で組まれている。今日の戦いぶりを見る限り、中盤から前線にかけては思い切ったターンオーバーを敢行できるだろう。ウィングバックには越道に加え、菅大輝も控えている。それだけに、指揮官が最終ラインをどのように構築して臨むのかが見ものである。
冷めきった視線と、「スクワットごっこ」に狂うファン
ところで、同時間帯には地元でカープなる組織が「野球ごっこ」をやっていたようだ。あいにく午前中から眠気が強く、帰宅後にデスクで寝落ちしてしまったため、気がついた時には15時を過ぎており、すでに事実上試合は終わっていた。もちろん、わざわざそのあとから映像を見る気など起きるはずもない。佐藤啓介のホームランで完封を免れるのが精一杯だったようだが、だから言ったではないか。ソフトバンク・尾形崇斗の剛速球など、今のヘボ打線に打ち返せるわけがないと。
スクワットごっこに興じて喜びを感じている層とは異なり、私は一応プロの野球として試合を見ている。だからこそ、こうした結果は最初から予見できるのだ。一番驚かされたのは、こんな無惨な消化試合になることが分かりきっているにもかかわらず、公式発表の観衆が3万1567人とされていた点だ。そのうち実数が何割だったのかは知る由もないが、現地へ足を運んだ客の物好きさには感心するほかない。一部のカープファンは、チームが負けて惨めな姿を晒すのを見て快感を覚えているのだろうか。弱いチームを「支えている自分」に酔いしれているのだろうか。
ファンがそのようなスタンスである限り、カープが強くなることなど永遠にない。前日のあのような酷い惨敗を見せられたのであれば、ふざけたプレーに対して容赦なく叱咤激励を浴びせるのが当然の反応だ。どうせ今日も自称応援団主導で「気合を入れろカープ」などと虚しいコールを繰り返したのが関の山だろう。そんなものは何の足しにもならない、ただの自己満足に過ぎない。
エトミデート疑獄の闇と、最下位へと沈む泥舟
今日も今日とて、チームの打線はわずか4安打。それも試合が完全に壊れてから放った意味のない安打ばかりだ。すでにオフェンス機能は完全に死滅しているにもかかわらず、何の補強も手当てもしないのだから、組織が壊れていくのは必然である。補強したくても手元に駒がないのだから、これからシーズン終了までの1ヶ月近く、ただひたすら壊れていく姿を見せつけられるだけだ。こうなれば、一体どこまで負け続けるのか見ものである。
そもそも、エトミデート疑獄という前代未聞の薬物不祥事で球界全体に泥を塗り、世間に恥を晒したカープが、今シーズン最下位という結末を迎えるのは至極当然の理であり、因果応報というべきだ。本来であれば、不祥事の全貌を清算し、球団トップがしかるべき謹慎すら表明していないような組織が、プロ野球という興行を行ってよいはずがないのだ。
松田元オーナーをはじめとする経営陣、そして彼らを無批判に甘やかし続ける自称ファンたちを一掃しない限り、このクラブに「正常化」という言葉が訪れることは二度とないだろう。
努力が正当に報われ、フットボールの神様に愛されるサンフレッチェのピッチと、私利私欲と隠蔽工作の末に敗退行為を続けるマツダスタジアムの惨状。両者の違いは、単なる勝敗や運の差などではなく、プロの組織として誠実に汗をかいているか否かという一点に尽きる。
エトミデート疑獄のけじめすらつけず、ファンを騙し続ける松田元体制が最下位へと沈むのは至極当然の報いだ。腐敗した経営陣とそれを甘やかす信者たちが一掃されるその日まで、私はこのクラブの「死」と「不当な興行」を冷ややかに記録し続けていく。
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