カープファンたちは、「弱い」ということのほんとうの意味を知らない。

おもひで

善意のカープファンの中には、ふた言めには「弱い時にこそ応援するのが本当のファン」と曰う傾向がある。しかしながら、彼らは「弱い」という言葉をどういう意味で使っているのだろうか。些か疑問である。

そんなの簡単だ、勝てないことだよと彼らは言うだろう。しかし、「強い/弱い」は、「勝てる/勝てない」と同義ではない。その点を、とりあえず野球を見続けて五十年近くになる私が解明したいと思う。私はカープの黄金時代を含めて「強い」チームもたくさん見てきた一方で、「弱い」チームの何たるかも骨身に染みて分かっている。

私はカープファンであると同時に、南海ホークスというチームにシンパシィを持っていた。理由は分からない。しかしこのチーム、1978年から1986年まで5位か6位にしかなれなかった。1950年から1966年の間は逆に首位か2位しかなかったというとんでもないチームだったにもかかわらず、である。

私が強くファンとして自覚したのは1985年1月、だから暗黒時代まっしぐらの頃だから、その弱さというものははよくわかっている。どんな感じかというのを的確に表すには、1985年にやしきたかじんプロデュースで出されたレコード「南海ファンやもん」の歌詞に表れている。その2番の歌詞を引用する。

♪酒と愚痴と 南海ホークス ひとりで語る 黄金時代のことを 散歩がてらに 中モズたずねれば オーこれがホークス なんとも言えんえー感じ いつかきっと良くなるさ そのうち見てろとつぶやいて 夢を語るほどに 侘しい気持ちになってくる

本当に、この歌詞に過不足なく含まれている(もちろん私は当時は酒は飲めなかったが)。ひとことで言うと、夢が見られないのである。そうしたら何を見るか。過去しかないのだ。あの鶴岡親分の時代のホークスを見るしかないのだ。そのくらい、目の前の現実は絶望で真っ暗だったのだ。

それに比べれば、今のカープは、弱いという範疇に入れてはいけない。はっきり言えば、適切な措置を取らないから勝てないだけだ。もちろんそれは今のセントラル、いやNPBに目を瞠るほど強いチームがないからでもあるのだが、私に言わせれば、まっとうに補強し、まっとうな采配をし、まっとうな戦略を練れば普通に勝てるのだ。

今のタイガースがいい例で、いろんな意味でまともなチームとも思わないし、藤川球児の采配が素晴らしいわけでもなく、強いオフェンスと質量ともに豊富な投手陣を構築しただけである。どうしてもカープファンは投手陣に目が行くかもしれないが、近本、森下、サトテル、大山の1人でも欠けたら並のチームに成り下がる。その点を理解できない向きが多すぎる。

だからこそ、今のカーブを「弱い」と思ってしまうのだろう。しかし、前述のとおりその答はNeinだ。はっきり言えば、今のカープ、適切な補強もなければ適切な用兵もなく、育成も中途半端。自ら勝つことを放棄しているようなものだ。まあ、あえて「弱い」という要素を挙げるとするなら、使えもしない選手をたくさん抱え込んでいるということか。

ここまで長々と書いてきたが、要するに言いたいことはひとつだ。蓋し、今のカープファンは、勝手に今のカープを「弱い」ものと規定して、「弱い」チームを応援している自分に酔っているだけだ。チームの勝利よりもそういう姿の「美しさ」を追い求めているだけだ。即ち、カープの勝利を願うまっとうなファンとは相容れない所業である。

そして、それを拡大再生産しているのが、ほかならぬ松田元である。善意のカープファンの心理というか、私に言わせれば誤った思考につけ込んで、弱いカープを応援するのが素晴らしいという、ファンが無批判にお布施をするというビジネスモデルを作った大悪党だ。速やかに抹殺されねばならないのである。

先ほど引用した「南海ファンやもん」の続きの歌詞は、♪酒を飲めば底なしで どうせあかんとくだ巻いて やっぱり足を運ぶ 緑のユニフォーム好きやから、と締める。その時の南海ファンが、単に緑のユニフォームが好きというシンパシィだけでファンだったわけではない。いつか南海ホークスがかつてのように何か事を起こすと信じたから大阪球場に通ったのだ。

それなのに今のカープファンは、古葉監督時代の、そこまでさかのぼらなくともあの三連覇時代の記憶すら、捨て去ってしまったようである。そしてカルト的とでもいうべき極端な思考に走っているのだろうか。なんかどこかの国の議会制民主主義を見ているようだ。いかん、筆が滑ってしまった。

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コメント

  1. Иван Иванович より:

    強いか弱いかという前に、野球自体のレベルが低いんだよ。
    MLBだって決してレベルが高いわけではない。なぜかと言えば、アメリカの球技No.1がNFL(アメフト)No.2がNBA(バスケ)No.3がNHL(アイスホッケー)No.4の座をMLS(サッカー)とMLB(野球)が競っているものの、競技人口もスタジアムの平均観客者数もMLS(サッカー)のほうがはるかに上回っており、実質上MLBはアメリカで5番目の球技に過ぎない。常識的に考えると、アメリカで運動神経が優れている子どもは、野球は選ばんでしょ。だからMLBは外国人選手比率が30%と外国人に依存しており、好成績を残す選手もアメリカンよりドミニカンの割合が高い。

    日本も言うまでもなく、運動神経が優れている子どもはサッカーを選択し、野球はサッカー部を除外された子が仕方なくやる球技に成り下がっている。そんな中から、プロでスーパースターが出現する確率は、限りなくゼロに近い。

    将棋のプロ棋士にしても、4段から9段と格付けされており、4段同士の対局を観たいか?柔道の黒帯でも初段から8段と格付けされているが、オリンピックで4段程度の対戦を観たいか?
    言ってみれば、現在のNPBは「プロ」と言っても4段レベルの対戦に落ちぶれており、そんな低レベルで勝った負けた、強い弱いと言ったところで、何の意味がある???

    「プロ」野球というからには、最高段位同士のハイレベルの対戦をワクワクして観たいのであって、対戦前からショボいメンバーしか出場しないと分かってるのだから幻滅する。

    現在のNPB程度で「プロ」を名乗るのは厚かましい。

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