確かに今日のヒーローは、7回1安打好投のアンダーソン、または決勝のグランドスラムを打ったマクブルームかもしれない。しかし、本当の意味で試合を決めたのは、8回裏ワンアウト1、3塁からの菊池のプレイに違いあるまい。
はっきり言って、まずい流れだった。7-0にはしたものの、それ以上の追加点が取れず、戸根が乱調で2点取られてなおピンチ、打順は岡本。そしてイニング途中のリリーフは不得意な島内の投入。そして岡本の打球は間違いなく二遊間を割るか、せいぜいセカンドが止めるだけ、のはずだったのである。
それを菊池は、さも当たり前のように難しいバウンドの強い打球を取ると、当たり前のように二塁ベースカバーに的確に投げ、併殺を完成させるのである。先日のワンタッチグラブトスも鳥肌ものだったが、もはや鳥肌を通り漕ぎて唖然とした。いや、唖然としたのは私だけではあるまい。その後ベンチでの岡本の表情は、目が飛んでいた。あのプレイがジャイアンツに与えた衝撃は、きっと大きかったに違いない。
それが証拠に、9回表の攻撃はいささか淡白だったにかかわらず、ジャイアンツの反撃意欲はなかった。それほど、菊池のあのプレイのインパクトは大きかったというべきだ。あのくらいの守りであれば、強い攻撃に匹敵すると言えるのである。
それだけに、菊池がゴールデングラブを取ることにけちをつける向きは、野球ちゃんと見てんのかと言いたくなるのである。申し訳ないが、セントラルの他のセカンドに、これだけのプレイができる選手はいない。今日のプレイを見てまだ四の五のいう向きは、くたばってしまえと言いたい。
まあ、今日は本当にこのくらいでいいのではないか。あえて結果論めいたことを言うと、ターリーの9回裏はハイスペックに過ぎたというくらいだ。だったら昨日投げさせておけば3つ取れたかもしれぬとも思う。もっとも、5点差を万が一のことがあればそのほうがまずいとも考えられるので、どちらとも言えないかもしれない。
ひとつだけけちをつけるとするなら、いかんせんオフェンスのエンジンのかかりが遅すぎる。これだと、リリーバーが強いチームと当たったら簡単に転がされる。それに、このジャイアンツのローテは横川凱、グリフィン、そして赤星。申し訳ないが、とてもエース格とは言えない。この程度のピッチャーを早いイニングで捕まえられないようではだめだ。
そうでないと、次の6連戦、逆目がでても知らないよ。少なくとも今の弱っちいオフェンスではだめだ。なんか中継ではさかんに「好調赤ヘル打線」とか言われてアホなファンは調子に乗ってるに違いないが、まあ相手のエース格とがっぷり四つに組んで転がせるようになってからもの言おうねと思う。





