元選手逮捕とエトミデートの影。カープ「規律崩壊」の構造的罪状

スポーツ

元カープ選手・多田大輔のクレジットカード不正利用による逮捕。事件自体は個人の犯罪であり、すでに退団から年月が経過しているとはいえ、現在の球団が置かれた状況を考えれば単なる「過去の出来事」として片付けることはできない。
不祥事への対応を巡り口を噤み続けるエトミデート疑獄の影、崩壊した内部規律、そして自浄作用を失った球団組織とファン層の歪み。不気味なほど冷めきった空気の中で行われる甲子園遠征を前に、カープという組織が抱える構造的欠陥を静かに紐解く。

不祥事の連鎖というのは、得てして続くものである。今日はかつてカープに在籍していた多田大輔が、クレジットカードの不正利用で逮捕されたと報道された。彼が犯した行為は紛れもない犯罪であり、一切の同情の余地はない。確か以前、元選手の弦本悠希がSNSで多田に関する記事を取り上げていたのを記憶しているが、元来金銭面にルーズだったのか、あるいは退団後に困窮してしまったのかは定かではない。

多田がカープに在籍していたのは2015年から2017年までの3年間であり、退団からすでに10年近くが経過している。しかし折悪く、現在のカープはエトミデート疑獄という重大な問題を抱え、その火消しすらできずに迷走している最中だ。このようなタイミングで元選手の犯罪が報じられれば、「カープは組織の規律が甘い上に、選手のセカンドキャリアにも無頓着だ」と世間から評されても無理はない。本件とは直接関係がないという弁明が通用するのは甘い身内意識に浸った一部のファンだけであり、外部からこれらを結びつけて見られるのは自業自得と言わざるを得ないのだ。

内部規律の崩壊と、球団の冷酷な体質

組織内部の規律という点については、すでにエトミデート疑獄の存在自体がカープの綻びを如実に示している。一部の報道にある通り、矢野雅哉の周囲から球団内部への汚染が拡大したのだとすれば、まさに規律の緩みは極まっていたと言える。本来であれば、彼らの兄貴分にあたるベテラン選手——はっきり言えば菊池涼介のような存在がチームの秩序を締め直さなければならなかったはずだ。しかし現状を見る限り、その機能は完全に麻痺している。

一方で「選手のケア」という点について言えば、多田が戦力外となった際には社会人野球のチームへ移籍できているため、球団が完全に放置したわけではないのかもしれない。だが、手厚いアフターケアがあったとも言い難い。カープという組織は本質的に冷淡である。手厚い恩恵に預かれるのは、あくまで松田元のお気に入りに限られ、むしろ理不尽な形で去っていった選手やコーチ、スタッフのほうが圧倒的に多いのが現実だ。

もちろん、多田個人の犯罪をそのままカープの球団体質に直結させるのは論理の飛躍かもしれない。しかし、世間から「そうした体質の表れだ」と指摘された際、それを論理的に反論できるだけの信頼が今のカープに残っているかといえば、答えはNeinだ。不祥事に対して自ら説明責任を果たさず、白とも黒とも言えない態度を決め込んでいる球団姿勢そのものが、組織的な構造欠陥を証明してしまっているのである。

隠蔽が生む崩壊と、不気味にシラけたファン層

すでに流布している情報や独自に聞こえてくる話を総合すると、カープにおけるエトミデート問題は想像以上に深刻な広がりを見せている可能性がある。もっとも、どこまで事実が公表されるかは不透明だが、最大の焦点は「球団がどの段階でこの事実を把握していたか」だ。少なくとも羽月隆太郎の事件が発覚した時点よりも前に把握していたと考えるのが自然であり、もし初動で知っていながら隠蔽を図っていたのだとすれば、球団組織の信用は一気に瓦解するだろう。

球団が頑なに口を噤み続けているのも、初動での嘘や後手に回った対応によって自縄自縛に陥っているからだと推測できる。不祥事の初期対応に失敗して身動きが取れなくなるのは組織によくある失策だが、そんな不誠実な組織が運営する野球を見せられるファンとしては溜まったものではない。本来ならば、ファンが声を上げて経営陣の責任を追及すべき局面だが、現在のカープを取り巻く空気はどこか不気味にシラけている。声の大きい一部の層が、暴力的な言辞や圧力を通して異論を封殺しようとしていることも、そのシラけ具合を助長しているのだろう。

絶望の甲子園遠征と、崩壊した組織の行く末

こうした暗雲が立ち込める中、明日からは阪神甲子園球場での3連戦が始まる。何らの根本的対策も打たれぬまま、ただ漫然と3連敗を喫する未来しか見えてこない。現在の惨状で勝てる要素があるのなら、逆に教えてほしいくらいだ。支配下登録されたばかりの杉田健を帯同させるようだが、気休めにすらならないだろう。今チームに圧倒的に不足しているのは捕手と二遊間の戦力であり、そこを補強する手立てはすでに失われている。すべては補強を怠り、組織を硬直させた松田元体制の責任である。

そして、この惨状を真に決定づけたのは、松田元と結託してその庇護のもとで振る舞ってきた一部のコアファン層かもしれない。本来追及されるべき経営陣を擁護し、批判的な意見を封殺しようとする彼らの存在は、クラブの正常な自浄作用を奪い去った。自分たちの立場やヒエラルキィを守ることしか頭にない彼らの姿勢には、ただただ呆れるばかりである。真摯に野球と向き合う姿勢という点においては、もはや東京大学や京都大学の野球部のほうが遥かに健全で応援する価値があるだろうし、そんなに勝てなチームがよければそうしてればと言わざるを得ない。

補強を怠り、問題の根本から目を背け続けた末路が、現在の無残なチームの姿である。今や勝利への執着も、組織としての誠実さも感じられないまま、ただ惰性で試合が消化されていく。
真摯に野球と向き合う姿勢を失った組織と、それを庇護し続ける閉鎖的な構造に、これ以上何を期待しろというのか。阪神甲子園球場で繰り広げられるであろう無力な敗戦劇を前に、ただ冷ややかな静観を決め込むことしかできない。

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