早いもので、来週の今はドラフト会議前夜である。今年度のカープは補強ポイントがあまりにも明白であることから、ひとつ今日はドラフト会議についてのそもそも論を語ってみたいと思う。意外とその出発点を誤解しているファンが多いような気がするのだ。
私に言わせれば、ドラフト会議というのは単なる花いちもんめではない。蓋し、偉大なるシミュレーションゲームである。以下理由を述べる。
ドラフト会議というのは、タクティクスの観点から見たら、極めて単純なウォーゲームである。敵は11人いるが、その敵は決して合従連衡することはない。独立の利害で動くのである。だから、それぞれのチームの思うところを読んで行けば、比較的最適解は簡単に計算できるはずなのだ。
もちろん、不確定要素はある。それは1巡目指名のくじ引きである。これだけは神様の差配であるからどうしようもない。しかし、くじ引きリスクに備えて、作戦αと作戦βというように何方向もの手を打つことは可能だ。そのくらい、コンピュータの力を借りずともできるはずだ。
まして、2巡目指名以降はウェーバーである。そうなると、先行球団はどういう選手を欲してどういう手を打ってくるかを読んでいけば良いだけとなる。もちろんそれは非常に難しいから、ゲームなのである。誰でもできるんだったらどのチームも最適な解を得てみんな満足するはずだ。
ちなみに、未だに人の一生をくじ引きで決めるなんてと言ってくじ引きを嫌悪する向きもいるが、莫迦である。くじ引きというのは実は法的にも優れたシステムである。このあたりは、最近の法哲学の本をお読みいただきたい。
話をもとに戻すと、ドラフト会議の必勝法というのは、目利きのスカウトだけではない。一番必要なのは、優秀なシミュレータである。原理は単純とはいえその時々の動きで千変万化するから、そこから適切に最適解を読める人材が必要なのだ。こういうのは、案外セミプロ、いやドラフトオタクに任せたほうが良いのかもしれない。
その意味では、カープのリスクというのはここでもハジメである。彼奴がしゃしゃり出て来て余計な口出しをするからおかしくなるのである。しかも奴の場合、その基準は奴の好き嫌いである。しかも小粒で非力だけども足は速いとかいう選手が好きなようだから困ったものである。
因みに、今のNPBのドラフト会議というのは奇跡的なほど安定したシステムである。なぜなら、拒否リスクがあまりにも高いから。これは、かの栄養費問題以来、拒否したり特定球団を希望したりすると、何かあると思われてしまう(いや実際に裏がある)から、アマチュア側にとっていいことがないのだ。まあ人気独占球団だったジャイアンツの没落が手を貸している側面もあるのだが。
カープに話を限ると、とにかく今年は長距離打者優先であることは間違いない。もちろんビッチャーは特殊ポジションだから、獲得に説得力があるピッチャーであれば欲しい。あとはキャッチャー。ひとり即戦力クラスが欲しい。そうすれば来季の展望が開ける。
そういう観点からドラフト会議を見たら、実はドラフト会議は優れたシステムであることに気がつくだろう。特に日本のように高校野球界が威張っているようなところでは必須だといっていい。もしドラフト廃止を提言するなら、代替手段として各球団にユース、ジュニアユースクラブの創設を認めればいい。絶対高野連は反対するけどね。
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