帰宅途上ににふと駅から空を見上げたら、美しい満月が目に入った。今日の満月はいわゆるスーパームーンとのことで、殊の外美しく感じた。いや、それは今日がスーパームーンの日であることを意識していなかったからこそ、美しく感じたのかもしれない。私の部屋には旧暦と月の満ち欠けが載っているカレンダーがあるはずなのだが、なかなか目に入らないのである。
とかく美というものは、思わぬ所から現れたときにその何割増しも感ずるのかもしれない。事前知識とか前評判がないところから見えたときに感動を生むといっていいだろう。函館本線の車窓から見える銭函海岸などはその典型で、私も最初に見たときは息を呑んだ記憶がある。それこそ小学生の時に富士山を新幹線の車窓から見たときもそうだった。
一方で、三大がっかり名所と言われるものもあって、3番目は諸説あるが札幌の時計台と高知のはりまや橋は外れないらしい。両方見たことがあるが、特に札幌の時計台は地図を見て探し回った記憶がある。これは前評判とかうまく撮った宣材写真に目がくらまされた典型だろう。もっとも、時計台は二度目に見たときはしみじみと味のある建築に思えたし、宣材写真のような写真を撮ってみたものであるが。
それはまあ突飛な例としても、さあ見てやるぞ、感動させてもらおうと思ってかかると、案外だったりするものなのかもしれない。余計な予備知識がない方が、素直に感動できるのかもしれない。よく口コミを信じていったらそうじゃなかったという負の口コミを見ることがあるが、あれはそんなところから来ているのかもしれない。それに、ツボにはまるポイントというのは実は人それぞれで、ある人のツボにはまったからといって他の人もそうという保証はないのである。
と、いうわけで、私は食べ物の店を探すときでも、口コミは一切信用しない。客観的にその店が何を得意としているか、何を出せるかというところを見るようにしている。最後は、勘だ。まあ一種バクチだが、そうじゃないと楽しくない。広島は本通りにあるお好み焼きの某店(あえて名は伏せる)だって、必ずしも口コミは悪い物ばかりではないのだ。口コミもまた平気で嘘をつくから、信ずるだけ莫迦莫迦しいとさえ思う。
今はなくなったが、神戸の南京町に「南翔」という小さな店があった。大通りから脇道に入った細い路地にあったのだが、大通りに看板が出てなけれ場確実に行くことはなかったし、もちろんガイドブック(昔はWEBがなかったのでそれが頼りだった)にも載っていなかった。その看板を見て興味を持って入ってみたら、うまかったので感動した記憶がある。そして壁に貼ってあるサイン色紙の山。その顔ぶれからも、これは味で売ってる店だなというのがよく分かったのである。
そういう意味では、もはやカープというチームには妙な先入観とか期待値を持って見ない方がいいのかもしれない。はっきりいって、期待するだけ莫迦莫迦しい。というより、どこに期待するようなものがあるでしょうか。ヒロシマ球界は右も左も真っ暗闇じゃあござんせんかと言いたい現状がある。期待せずに見てそれなりの結果しか出なければ、ああそうで済むし、それで結果を出したら感動は何割増しかになる。
思えば2016年の優勝の時がそうだった。「失われた二十余年」で愛想も尽き果てていたし、その前年は前評判にもかかわらず監督の不始末でAクラスにすらなれない始末。当時まだ店を開いておられた国貞泰汎さんと話をしたときに、順位予想として指6本たてられた記憶がある。私も同感だった。事実、前評判は前年の方が高かったのである。前田健太がいた上に黒田博樹が帰ってきたのだから。
というより、もはやそんなことに期待しなければいけない現状自体が哀しくてならない。あのときは黒田博樹と新井貴浩という投打の柱がいたし、それに続く主力が成長しつつあった。今のカープに、そもそも軸となる選手がいるかい?フロントランナーがいないのに、誰が付いてくるもんか。要するに、そんなもんだ。哀しいけれど。
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コメント
以前、一度書いたことで重複する部分もあるかもしれないが、学童の頃から、自宅近辺の川べりに寝っ転がり、星空をばんやり見上げる事がままある。
故父も自身も転勤族で、国内外を転々としていた影響で、あんまり旅をしたいと思わないんだよなぁ。転勤出張以外で、学童期後半と高校時代は、著名な声楽&ピアノ教授のレッスンを受けるために、海外の3カ所に拠点を置き落ち着かない期間もあり、今は連休くらい地元でのんびりしたい。
数少ない旅行の中で、小3の時、家族で旅した松江、中学時代の一人旅・郡上八幡の星空が脳裏に焼き付いている。やはり、都会の夜空に比すると、澄んだ空気と空の色味の深さが異なる。堀川(松江)の川べりから眺める群青の夜空、吉田川(郡上八幡)の川べりに寝っ転がって見上げる瑠璃の星空。水と共にある町(松江は堀川と宍道湖、郡上八幡は吉田川と湧水)として、水辺の美しさが際立つ。
オレ流の旅は、バタバタ鳥のように慌ただしく観光地をアチコチ回るのは苦手で、不人気の閑散とした田舎或いは小都市の一カ所(戸外)で半日くらいボンヤリと過ごすこと。付け加えると、戦火を免れ古くて美しい街並みと文化財が残ってる場所が好み。
海外なら、パリやロンドン、ベルリンなんかの観光地化が進みすぎた大都市より、戦火を免れ、中世〜近代の街並みや建築物が破壊されずに残った落ち着きのある東欧はいい。チェコのプラハやポーランドのクラクフなどは、戦火を免れた旧市街がそのまま残って、絵画のようにうっとりするほど美しい。
居住した中でベストは、ハンガリーの南端モハーチという小都市(人口2万くらい?)。高層の建物が皆無で、住居はほぼ平屋建て。やはり、建物が低階層で見通しの良い街は息が詰まることがない。2月には秋田のなまはげとソックリのブショーヤーラーシュ(Busójárás)という祭りがオモロイ。元々ハンガリーミュージックが好きだし、ドナウ川の川べりに寝っ転がって星空を見上げる気分は最高。
またまた、余話が長くなりすぎた。
管理人さんのご指摘通り、現在のカープには軸になる選手が不在やね。とりあえず1人でもエエから、大スターになり得るキーパーソンを育てることかな。