阿南さんが少し力をくれたかな。

おもひで

私事で申し訳ないが、電車の中にスマホを忘れてしまった。降車駅ですぐに気がついて、程なく発見はされたのだが、こんな日に限って仕事が遅くなりピックアップできたのが19:20ころ。加えて、今年2度目のスマホ紛失未遂ということで、ままならぬ仕事と相俟って思い切り凹んでいた。それはさておき。

阿南さんの訃報を知ったのも、当然そのころだった。阿南さんといえば、私にとって言えば、初めて握手をしていただいたカープOBである。選手時代は当然見たことあろうわけがなく、サードベースコーチを務められ、そしてもちろん古葉監督の後を継いでカープを優勝に導いた監督だ。あれから三十有余年、どうりで私も年を取るはずだ。あの頃の阿南さんの年齢を越してしまっているのだから。

で、喪章をつけて臨んだ試合。だいたいこういうときのカープはよく負けるのだが、今日は勝った。些か危なっかしかったが、勝ちは勝ちだ。勝てた理由は、先に点を与えず、先に点を取ったからである。これは唯一と言っていい野球の必勝法である。そして、ホームゲームの1回表こそ、これも唯一と言っていいくらい「守り勝つ」ことの大事なイニングなのだが、そこで矢野のビッグプレイが出た。今日の試合を大きく左右したプレイだったと思う。

やっぱり、ショートを中心に内野守備のユーティリティとして活躍した阿南さんがついていてくれたのかもしれない。ギリギリのところで、さらにあと一歩を伸ばしてくれたのかなと感じた。もちろんそんなのは妄想以上でも以下でもあるまいが、ショートでのレギュラーを取りそこねた(ちなみに阿南さんからショートを奪ったのは古葉さんである。)阿南さんが目下勉強中の矢野に力を与えた、のかもしれぬと考えてみた。

今頃、3年前に先に天上界に行った恩師の富永一朗翁と談笑してるかな。あるいは古葉さんと、そして指導者としての恩師でもある三原脩翁と、野球の話でもしているのだろうか。

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