刑事手続の基本の「き」

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羽月にまつわる言説をいろいろみるに、どうやら世の人は刑事手続のなんたるかを分かっていないような気がしてならない。そこで、本日は一粒万倍日と言うことでお日柄もよいことから、初歩の初歩を書いてみたいと思う。まったく難しいことは言わないので、肩の力を抜いて読んでいただければと思う。こんな真面目なことを書くことができるのもある意味羽月のおかげだ。

まず、刑事訴訟上は捜査は任意が原則である。昔の刑事ドラマなどはずいぶん乱暴で何でもかんでもすぐ手錠をかけていたが、これは誤りだ。強制的に家宅捜索をしたり、所持品検査をしたり、ましてや身体を拘束するためには、法律の根拠がいるのである。それが逮捕状であり、捜索差押許可状なのだ、もちろん根拠は全て刑事訴訟法、いや日本国憲法にある。

逮捕に話を絞ると、それでは証拠があれば全て逮捕できるか。ここにもひとつ絞りがある。まず、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」が必要である。さらに、「逮捕の必要性」がなければならない。それでは逮捕の必要性やいかん。これは「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」があるときである。それがないと、逮捕状請求は蹴られるのだ。

それでは、HATSUKI CASEではどうだったか。エトミデートが尿検査(もちろん任意)で検出されたのは昨年12月と言うから、単に施用罪の証拠ならここで揃っているのである。何も悩むような事案ではない。しかし、少なくともこの時点で逮捕状請求を捜査当局はしなかった。それはなぜか。

ひとつは、その時点では逮捕には及ばないと考えたであろうということである。何度も書いたところだが、薬物捜査の肝は引き元と出回り先である。そこまで捜査をする過程で、羽月の身柄を取る必要性が生じた、すなわち証拠の隠滅に繋がるような挙動が見えたということが推測される。あるいは、捜査当局がすでにエトミデートの蔓延状況を摑み、羽月を泳がせることが有害になったからなのかもしれない。それがたまたまキャンプイン前だったというところだろう。

もうひとつは、エトミデートだけではない、早い話が麻向法、すなわち違法薬物での立件を視野に入れて捜査していた可能性があるということだ。これは推測に過ぎないが、尿検査をされたと言うことは、何らかの疑いをかけられたと言うことだ。それが仮にたれ込みだったとしても、単にあいつ怪しいから調べてくださいと言うだけだったら警察は動けない。エトミデートを吸ってラリった所を抑えられるか、さもなくば現物か吸い殻を抑えられるかしないと、捜査の端緒にならない。警察が捜査を行うと言うことは、それだけハードルが高いのだ。

話が長くなりそうなので少し端折ると、要するに単にたれ込まれたのではなく、エトミデートの吸い殻を持ち込まれたのではないかとの推測が立つ。そうなったとすれば、警察は鑑定に回す。ものによっては、麻薬向精神薬での立件も視野に入れて捜査するかもしれない。そうだったとしたら、話のつじつまが合うのだ。単に薬機法で立件する腹決めをするまでに時間がかかっただけなのかもしれないのだ。

私は何度も書いているが、この問題は羽月を挙げて終わりと思わない方がいい。捜査当局はきっとその先を狙っている。カープ球団とファンタジーカープファンは羽月が一時の気の迷いで不心得な行動をしたと思いたい、思わせたいのかもしれない。しかし、それは善意に過ぎる。まあ、本件は刑事手続の問題なんだから、少しは勉強してしゃべってほしいよねと思う。

すでに述べたとおり、羽月の勾留満期は2月17日と推測される。その日にどうなるか。公判請求されるのか、所持罪で再逮捕・勾留するつもりなのかは、捜査当局の考えることなので分からない。しかし、ここにもひとつだけ悪魔のシナリオがある。薬機法の施用罪には罰金刑がある。略式起訴をして、公判にしない、いやさせないという道があるのだ。

そんなことをして誰の得になるか。もちろん羽月のためではない。喜ぶのはカープ球団だけだ。公判廷、すなわちプレスも入る公開の法廷でエトミデートの蔓延の実態、そしてそれを球団がとうに把握していたことが露呈したら、カープ球団は詰む。それを球団は阻止したいに違いない。ましてや羽月に公判でしゃべらせるなんて、カープ球団にとっては悪夢でしかない。

きっと捜査当局、というより検察庁内部では落とし所をどうするか検討が重ねられているだろう。しかし、この問題を解決するためには、公判廷での解明以外に道はないと思う。それを避けたなら、もう検察庁の威信は地に落ちるといってよいと思う。秋霜烈日のバッジに賭けてでも、つまらぬ横槍には屈しないでいただきたいと切に願う。

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コメント

  1. Иван Иванович より:

    ちょっと意地悪で素朴な疑問なんだけど(笑)。

    逮捕に話を絞ると、まず、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」が必要である。「逮捕の必要性」がなければならない。これは「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」があるときである。それがないと、逮捕状請求は蹴られるのだ。それ、誰が決めるの?

    2019年4月19日、東京都豊島区東池袋4丁目の都道で通行人を次々と自動車ではね、2人を死亡させた運転者の飯塚幸三。いわゆる上級国民は逮捕されなかった。自身が怪我で入院したことも逮捕されない理由のひとつだろうが、退院しても逮捕されなかった。こういう権力者こそ、拘束しないと、入院や自宅療養中に、起訴を免れるための悪知恵を刷り込む弁護士が居るのでは?むしろ「失いたくないもの」である上級国民的な要素をたくさん持っていればいるほど、有罪判決を免れるために証拠隠滅に走る動機があるのでは?また、逃亡のおそれがない、と言い切れるのか?
    その2日後、2019年4月21日に神戸三宮でバスが暴走し、2人が死亡、6人がケガをした事故があったが、この運転手は現行犯逮捕されている。死亡者数は飯塚幸三と同じで、けが人はバスの事故の方が少ないのに、下級国民は逮捕されるのに対し、上級国民は逮捕されない。元官僚には「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」がなく、バス運転手にはあるって、職業差別やん。

    また、暴走事故でけが人は出たものの死者は出ていない事故でも、下級国民は現行犯逮捕されている。2019年11月11日に東京都八王子市の交差点で保育園児の列に軽トラックが突っ込む事故があった。保育園児4人を含む6人がケガをしたが、死亡した人はいなかった。この事故では、軽トラックを運転していた60代の男性を現行犯逮捕している。でも、2人の母子をひき殺した飯塚幸三は逮捕されていない。

    千野志麻(元フジテレビアナウンサー)事件。駐車場で男性を轢き殺す→逮捕なし。
    夫は元首相・福田康夫の甥でゴールドマン・サックス社員の横手信一。千野志麻と横手信一の結婚披露宴には福田康夫、森喜朗、安倍晋三ら元総理が出席している。人を轢き殺したのに略式起訴でたった100万円の罰金刑。
    「死亡事故でも、悪質性が低ければ逮捕しないのが通常運用」と元警察官は述べているが、「悪質性が低い」って、基準は何?轢き殺した人に対し碌々捜査もせず、轢き殺した人に恨みがあった可能性はゼロと言い切れるのか?うっかりミスなら逮捕されず略式起訴で済むので、人を轢き殺してもいいのか?

    横浜、高齢女性の暴走事故(2018)。加害者は87歳女性で死亡2名。現行犯逮捕。
    福岡、高齢男性の逆走事故(2016)。加害者は75歳男性で死亡3名。現行犯逮捕。
    名古屋、高齢男性の暴走事故(2020)。加害者は80代男性で死亡1名。現行犯逮捕。

    下級国民が起こした重大事故では、速攻で「現行犯逮捕」するくせに、事故加害者が権力者だと分かれば複数の死亡事故でも逮捕しない。逮捕には「法律の根拠がいる」というより、権力者を逮捕することで、警察官および検察官自身の今後の昇進に響くから逮捕しない、自身の昇進に影響しない平民被疑者は問答無用で逮捕する、が正解なのでは?そもそも、「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」の有無って、そんな曖昧なこと、どこの誰が判断するのか?「~のおそれ」と言ってる時点で、曖昧というか適当やん。

    「憲法第14条1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

    嘘或いは建前やね(笑)。

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