ある鯉党のたはごと2025その8;あれから37年経ちました。

おもひで

もう、「10.19」といってもなんのこっちゃと感ずる向きが多くなったに違いないが、もちろん近鉄バファローズの戦いが初めて全国区になったといっていい日である。それについては、もう嫌ほど書いたから、繰り返さない。むしろ付け加えるならば、ドラマティックバファローズ伝説の序曲になったということぐらいか。

その後、翌1989年には自力優勝消滅の崖っぷちから踏みとどまり、ブライアント奇跡の3連発で優勝をたぐり寄せ、2001年はいうまでもなく北川博敏の代打満塁サヨナラ優勝決定本塁打という水島新司翁もびっくりの試合をやってのけた。そして、その3年後に取り潰された。

実は1989年の優勝を呼び込んだのは、ブライアントの3連発も大きかったのだが、佐伯勇オーナーが亡くなったことが発表された10月6日のブルーウェーブ戦でハーマン・リベラのサヨナラホームランで勝ち、プルーウェーブのマジックを消した試合が大きかった。ここから死にかけたバファローズが結束したのである。まあ、今日は野球講釈をするつもりはないので、この程度とする。

オーナーが亡くなったといえば。その前年の南海ホークス球団譲渡、福岡移転も南海ホークスを守り続けてきた川勝傳オーナーが亡くなって話が動いたというところがあった。佐伯勇オーナーもまた、近鉄バファローズを守ってきた人であった。現在においてはやはり一人の豪傑の熱情で球団を経営するのは難しいのかもしれない。またそれを持つ人も限られるのだろう。

強い球団を作るためには、もはやある程度の合理的経営が必要になるのだろう。今のタイガースなんてそうだ。阪神電鉄の頃は見苦しいお家騒動が繰り返されていたが、阪急阪神ホールディングスになってからはあまり聞かない(絶無かどうかは分からないけど)。ベイスターズの南場智子オーナーなど現代型オーナーの理想形だろう。逆にイーグルスなどは、後発球団の割にはちょっとね。

而してカープである。はっきり言ってよくも悪くも松田家の個人商店である。その意味ではまだ昭和の古き良き時代の体質が残る経営というべきだろう。しかも、諸般の事情から東洋工業が経営に入ってからまだ社長が3代である。そりゃ現代化についていけなくなっても仕方がない面はある。良くはないが。

しかし、「売家と唐様で書く三代目」との言葉もある。だいたい代が下ると経営が怪しくなるのが世の常だ。カープがそうならないという保証は、何もない。その3代目、はっきり言えばハジメは父であり先代の耕平オーナーのやったことを形式的に、自分の都合の良いように換骨奪胎しているとしかいえない。耕平オーナーにはいいところも悪いところもあったが、ハジメにいいところが何もないのは当然のことである。

さらに、ハジメだって不老不死ではないし、もはや後期高齢者だから、私がいつか死ぬのと同様に命が尽きる日がやがて来る。その時に継ぐのは現オーナー代行の松田一宏。ハジメの甥である。どうも気になるのが、阪急ブレーブス売却時のオーナーが小林一三翁の孫娘の婿であるし、血族でも系統がずれると、経営が怪しくなったときに耐えられないことがあるのだ。

今のカープは、まさに経営的には順調とはいえない。それを物語るのは今シーズン目立ったガラガラのスタンドである。もちろんカルト信者は熱心にお布施を捧げているが、ライトなファンが離れつつある。だからファンクラブの改組などやったのだろうが、果たして効果ありやと思う。かなり限定的ではあるまいか。

きっと松田一宏はハジメの悪いところを見て真似するだろうから、今よりなお悪い経営スタイルになるのは必然だ。それが将来までうまく行き続けるかは分からないし、そうならない可能性が高いだろう。その時、彼はどうするか。未だに宮内義彦が執念を燃やしている「球界再編」ごっこに乗ってしまう可能性すら、ないわけではあるまい。

私は2度までも愛した球団を失ったから、その喪失感を今後誰にも味わせたくないという気持ちがある。そのためには、ハジメ神権帝国の親衛隊となっているカルト集団に気づきを求めるという困難な作業が待っているのだ。さて、私はどうすればよいのだろうか。

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コメント

  1. Иван Иванович より:

    松田個人商店のような「勝たなくても儲かる構造」が、MLBにも存在するのか?MLBの「タンク戦略」との比較を通じて掘り下げてみる。

    マツダ個人商店とMLBの「タンク戦略」との類似性
    タンク戦略とは?
    •定義:意図的に戦力を落とし、負けることで翌年のドラフト上位指名権を得る戦略
    •目的:短期的な勝利よりも、長期的な再建とコスト削減
    •代表例:アストロズ(2011〜13年に3年連続100敗 → 2017年WS制覇)
         カブス(2010〜14年に低迷 → 2016年WS制覇)
    経営的メリット
    •年俸抑制
    •若手中心の編成でコスト削減
    •ファンに「再建中」という物語を提示

    広島カープとの構造的類似

    項目       MLBタンク戦略     広島カープ
    勝利の優先度   低(再建重視)    低(年俸抑制)
    補強姿勢 消極的(戦力放出) 消極的(FA獲得なし)
    ファンへの説明 再建中の物語 市民球団幻想
    経営者の動機 将来の利益最大化 年俸高騰回避・安定利益
    経営構造 ビジネス主導・株主圧力あり 個人独裁・外部圧力なし

    広島カープのような「勝たなくても儲かる構造」は、MLBのタンク戦略にも見られるが、その正当化の物語が異なるのがポイント。
    -MLBでは「再建」「若手育成」という合理的物語
    -広島では「市民球団」「手作り野球」という幻想的物語
    これらはすべて、ファンの批判を回避し、経営者の利益を守るための「制度的物語装置」と言えるだろう。

    ファンの覚醒は可能か?
    •タイガースファンのように、球団経営に対して声を上げる文化が根付けば、広島でも変化は起こり得る。
    •ただし、広島の場合は「地元愛」と「市民球団幻想」が強固であり、批判が「裏切り」と見なされる空気がある。
    •その意味で、善良なファン1人1人がマツダ個人商店球団経営の「悪」に切り込み分析し、声を上げる事を習慣づけすれば「制度の目覚まし時計」として変革の礎となる。

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